The Negligible Lab

Astray in the forest of electrical and electronic circuits. Adrift in the gap between time and frequency domains. 独立独歩を是とする。

2021-01-01から1年間の記事一覧

Raspberry Piで地震計を作る ④ 十字配線基板・HAT化編

はじめに 晩秋から年末へと時が移ろいつつありますが,いかがお過ごしでしょうか? 今朝は筆者の住む街でも氷点下を記録しました。寒くなって参りましたね。今回も残念ながらぱわみのある記事ではありませんが,お付き合い下さい。 さて,前々々回*1,前々回…

Raspberry Piで地震計を作る ③ センサ・全体構成編

はじめに Raspberry Piによるマイ地震計を作るため,前々回にて計測震度計算プログラムを,前回にてタイマ割込みやマルチプロセッシングなどリアルタイム処理を作って参りました。今回は,Raspberry Piに加速度センサとOLEDディスプレイを接続し,プログラム…

Raspberry Piで地震計を作る ② リアルタイム処理編

はじめに 前回と今回で,Raspberry Piを用いたマイ地震計について書いております。前回は加速度の時系列データから計測震度を計算するPythonプログラムについて述べました。 前回挙げた開発課題を再掲します。 震度計算プログラムの実装 システムコールsetit…

Raspberry Piで地震計を作る ① 震度計算編

はじめに 世界の地震の10%以上が日本で発生している──。巷間よく言われていることですが,先日も東京23区と埼玉県で10年ぶりに震度5強を観測したばかりであり,地震について考えない日はないと言っても過言ではないでしょう。 地震が発生した際に,気象庁の…

FFTを訪ねて[後編]PythonとC++で作ってみる

はじめに 11月に入っていよいよ秋が深まって参りましたが,いかがお過ごしでしょうか? さて,前記事にて,高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform, FFT)に対する筆者なりの理解の仕方をまとめました。周波数間引き(decimation-in-frequency)型のCooley-Tu…

FFTを訪ねて[前編]電気屋としての理解を探る

はじめに FFTと私 高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform, FFT)は,通常の離散フーリエ変換(Discrete Fourier Transform, DFT)に比べて非常に高速なアルゴリズムとして知られており,ランダウの記号を用いると,DFTの計算量がO(N2)であるところ,FFTではO…

M5Stackで遊ぶ ~浮遊静電容量で系統周波数を測る~

はじめに 概論 電力系統の周波数は,言わずもがな,東日本では50 Hz,西日本では60 Hzです。しかし,いつもピッタリ50 Hzや60 Hzとなっているわけではなく,それぞれ50 Hz,60 Hzを中心としながらも,常に揺らいでいます。発電が消費よりも大きければ周波数…

LTspiceによる三相PWM整流器の上位制御とノーズカーブ

はじめに サイリスタの転流を交流側の電圧に依存している他励インバータでは,電力系統(以下,単に「系統」とも呼びます)の短絡容量が小さくなると(=系統が弱いと)安定運転が難しくなると言われています。これに対して,IGBT (insulated-gate bipolar t…

数値表現のインピーダンスをα-β座標系からd-q座標系に移す

はじめに 前記事にて三相LCL回路のd-q座標系におけるインピーダンスをHarnefors氏の論文に基づいて(SymPyの力添えを拝借しながら)導出し,LTspiceによる周波数スキャン(frequency response analysis, FRA)の結果と一致することを確認しました。 negligible…

三相LCL回路のd-q座標系におけるインピーダンスを求める

はじめに 系統連系インバータと電力系統の相互作用によって,システムが不安定になることがあります。本ブログでは,過去の記事にて電流制御系と系統インピーダンスの相互作用について検討したことがあります。系統連系インバータの外乱応答(インピーダンス…

Raspberry PiとFlaskでスマートリモコンを作る

はじめに 今回のテーマは「家族の役に立つ工作」です。 泊まりがけの旅行から帰宅すると,戸締まりした部屋の中は真夏であれば蒸し風呂のように,また,真冬であれば冷蔵庫のように感じられます。帰宅する数時間前に外出先からエアコンを運転できれば,家に…

Raspberry PiでBLDCモータを120°通電制御する

はじめに 本ブログの前々記事にてブラシレスDC (BLDC)モータの120°通電制御について書きました。STMicroelectronicsのモータ制御開発キットP-NUCLEO-IHM001の制御装置はもちろんSTM32マイコンの載ったNucleo F302R8です。 このNucleoをRaspberry Piに繋ぎ替…

LTspice用制御ライブラリContraille ~概要編~

はじめに 随分と間が開いてしまいましたが,如何お過ごしでしょうか? さて,今年(2021年)の元日,ぱわみ社さんより「パワーエレクトロニクス」第2号が発行されましたが,大変光栄なことに,本ブログの内容を基にして私もそこに寄稿させて頂きました。まさ…