The Negligible Lab

Astray in the forest of electrical and electronic circuits. Adrift in the gap between time and frequency domains. 独立独歩を是とする。

Python

Pythonによる車輪形倒立振子の線形化と最適レギュレータ

はじめに P計画 Pythonの数式処理ライブラリSymPyには力学系を取り扱うためのsympy.physics.mechanicsというモジュールがあります(以降,“SymPy Mechanics”とも呼びます)。本ブログでは前回,このSymPy Mechanicsの仕組みを活用して車輪形倒立振子の運動方…

Pythonによる車輪形倒立振子の運動方程式の導出

はじめに P計画 前々回,前回にて台車形倒立振子の運動方程式を導出し,シミュレーション,アニメーション,線形化,最適レギュレータの作り方について書き散らして参りました。本記事以後,いよいよ台車形から車輪形の倒立振子に歩みを進め,運動方程式の導…

Pythonによる台車形倒立振子の線形化と最適レギュレータ

はじめに P計画: 倒立振子の思ひ出 筆者のメインPCは11年物のSandy Bridge (Intel Core i7-2600K)を使用した骨董品です。そのHDDの奥底から,はるか昔の実験レポートが出土しました*1。今でも図1のようにMicrosoft Wordで開くことができます。 図1: はるか昔…

Pythonによる台車形倒立振子のシミュレーション

はじめに P計画 車輪形倒立振子を作る──この目標に対して問題を分解しながらアタックするため,前回にて床を転がる車輪のシミュレーションとアニメーションをPython (+ NumPy, SciPy, Matplotlib)で実現した経緯をまとめました。次は振り子をシミュレーショ…

Pythonによる車輪のシミュレーションとアニメーション

はじめに P計画 2023年を迎えて2月に入り,その2月も終盤に差し掛かろうとしています。三寒四温──もう春が近いですね… 筆者が年初に思い描いた目標の1つに「車輪形倒立振子を作る」があります。ESP32等のマイコンモジュールとMPU6050等のジャイロセンサ,モ…

2次遅れ系の時間応答と減衰係数ζについての素朴な疑問

はじめに 今回は古典制御理論の初歩的なある事柄に関して筆者が抱いていた素朴な(あるいは幼稚な)疑問に関する書き散らしとなっています。あらかじめご了承下さい。 さて,2次遅れ系 のインパルス応答やステップ応答は,減衰係数ζ (> 0)の値によって3つに…

Raspberry Piで地震計を作る ③ センサ・全体構成編

はじめに Raspberry Piによるマイ地震計を作るため,前々回にて計測震度計算プログラムを,前回にてタイマ割込みやマルチプロセッシングなどリアルタイム処理を作って参りました。今回は,Raspberry Piに加速度センサとOLEDディスプレイを接続し,プログラム…

Raspberry Piで地震計を作る ② リアルタイム処理編

はじめに 前回と今回で,Raspberry Piを用いたマイ地震計について書いております。前回は加速度の時系列データから計測震度を計算するPythonプログラムについて述べました。 前回挙げた開発課題を再掲します。 震度計算プログラムの実装 システムコールsetit…

Raspberry Piで地震計を作る ① 震度計算編

はじめに 世界の地震の10%以上が日本で発生している──。巷間よく言われていることですが,先日も東京23区と埼玉県で10年ぶりに震度5強を観測したばかりであり,地震について考えない日はないと言っても過言ではないでしょう。 地震が発生した際に,気象庁の…

FFTを訪ねて[後編]PythonとC++で作ってみる

はじめに 11月に入っていよいよ秋が深まって参りましたが,いかがお過ごしでしょうか? さて,前記事にて,高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform, FFT)に対する筆者なりの理解の仕方をまとめました。周波数間引き(decimation-in-frequency)型のCooley-Tu…

FFTを訪ねて[前編]電気屋としての理解を探る

はじめに FFTと私 高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform, FFT)は,通常の離散フーリエ変換(Discrete Fourier Transform, DFT)に比べて非常に高速なアルゴリズムとして知られており,ランダウの記号を用いると,DFTの計算量がO(N2)であるところ,FFTではO…

数値表現のインピーダンスをα-β座標系からd-q座標系に移す

はじめに 前記事にて三相LCL回路のd-q座標系におけるインピーダンスをHarnefors氏の論文に基づいて(SymPyの力添えを拝借しながら)導出し,LTspiceによる周波数スキャン(frequency response analysis, FRA)の結果と一致することを確認しました。 negligible…

Raspberry PiとFlaskでスマートリモコンを作る

はじめに 今回のテーマは「家族の役に立つ工作」です。 泊まりがけの旅行から帰宅すると,戸締まりした部屋の中は真夏であれば蒸し風呂のように,また,真冬であれば冷蔵庫のように感じられます。帰宅する数時間前に外出先からエアコンを運転できれば,家に…