The Negligible Lab

Astray in the forest of electrical and electronic circuits. Adrift in the gap between time and frequency domains. 独立独歩を是とする。

2020-01-01から1年間の記事一覧

ブラシレスDCモータのホールセンサ付き120°通電制御

はじめに モータ制御への思い 交流電動機の可変速制御──。私のごく個人的な思いに過ぎませんが,そう,それこそがパワエレの本家本元ではないでしょうか。 パワーエレクトロニクスを学び,(ある程度)実践してきた私ですが,モータ制御を理解していないこと…

LTspiceで三相PWM整流器を作る ~直流電圧制御編~

はじめに 三相PWM整流器および単相を含む一般の系統連系変換器においては,交流電流制御系の上位(外側)に直流電圧制御系を設けます。 直流電圧を制御するためには交流電流を制御する必要があるとも言えます。 マイナーループである電流制御系に対して,直…

LTspiceで三相PWM整流器を作る ~d-q座標系編~

はじめに 秋分を過ぎ,本格的に季節が巡って参りましたね 前記事よりまた間が空いてしまいましたが,三相PWM整流器の直流電圧制御について,私の理解が非常に浅かったことが分かり,改めて考え直していたところです。 本記事では,まず,前記事で宿題となっ…

LTspiceで三相PWM整流器を作る ~モデル作成編~

はじめに 前記事から間が開いてしまいました。もう秋に入りつつありますが,まだまだ暑い日が続いていますね。 本記事では,LTspiceで三相PWM整流器(回生もできるので,一般の三相系統連系変換器*1として考えてください)を作った過程を書いてみました。 自…

系統連系インバータの電流制御と系統インピーダンス

はじめに 本ブログでは,電流制御とその安定性に関する記事をいくつか書いて参りました。例えば,下記記事では,サンプル & ホールドと1サンプル遅れを考慮した場合の安定性について,連続時間系に近似した伝達関数に基づく考察を加えてみました。 negligibl…

NumWorksのグラフ関数電卓でナイキスト線図を描く

はじめに フランスのNumWorks社によるグラフ関数電卓(本記事では便宜上,電卓についても「NumWorks」と呼びます)は,比較的低価格,MicroPython搭載,ファームウェアアップデートが頻繁,ハードウェア・ソフトウェアの仕様が公開されている等の特徴を有し…

伝達関数の直接的プロット法と電流制御系

はじめに 線形連続時間時不変システムの入力と出力をラプラス変換(s領域で表現)し,出力と入力の比(=出力÷入力)をとったものを伝達関数と呼びます。 入力が単位インパルス(δ関数)である場合,そのラプラス変換は1ですから, 伝達関数は単位インパルス…

続・LTspiceによる電流制御のシミュレーション

はじめに 先日の記事で,LTspiceによる電流制御のシミュレーションについて述べました。 negligible.hatenablog.com この記事の中で私個人としてひとつの発見と言えるのは, 操作量に対してむだ時間T,フィードバック量に対して窓Tの移動平均フィルタを施し…

LTspiceのための単相変圧器モデル

はじめに LTspice XVIIにはいわゆる「変圧器」のモデルが用意されておりません。 2つのインダクタをschematic上に置き,それらの間に結合係数kを設定すると,変圧器として機能させることができます。 図1: シンプルな結合インダクタの例 さて,LTspiceで変圧…

移動平均フィルタとサンプル & ホールド

はじめに サンプリング周期がであるサンプル & ホールド(S&H)の伝達関数は,近似的に と書けることが知られています。 これは移動平均フィルタ(moving average filter, MAF)の伝達関数と完全に一致します。 何となくそうなりそうな気もしますし,本当にそう…

LTspiceによる電流制御のシミュレーション

はじめに 電圧形インバータを用いてモータを制御したり,系統連系したりする場合,電流制御*1が必須となります。 昨今はオペアンプ等でアナログ制御*2することは稀で, 制御ハードウェアとしてはマイコンやDSP (digital signal processor),FPGA (field-prog…

制御電源のLaplaceオプションの罠

Laplaceオプション LTspiceには ビヘイビア電源(B, Arbitrary behavioral voltage or current sources) 電圧制御電圧源(E, voltage-dependent voltage source) 電流制御電流源(F, current-dependent current source) 電圧制御電流源(G, voltage-dependent cu…

連続系の代表的な伝達関数の双一次変換による離散化

はじめに 連続系では1次遅れ要素や2次遅れ要素など,代表的な伝達関数というものがあります,例えば, などですね。 制御器やフィルタなどをもともと連続系で考えていた場合,マイコンやFPGAに実装しようとする際には離散系に変換する必要が生じます。 この…

LTspice用制御系ライブラリContraille開発中

Analog Devices社が無償で提供しているLTspice XVIIは回路シミュレータとして大変強力ですが,MATLAB/SimulinkやPSCAD/EMTDCにあるような「信号」という概念がありません。すべてが回路です。SimulinkやPSCADにあるようないわゆる「制御ブロック」を標準では…