The Negligible Lab

Astray in the forest of electrical and electronic circuits. Adrift in the gap between time and frequency domains. 独立独歩を是とする。

制御電源のLaplaceオプションの罠

Laplaceオプション

LTspiceには

  1. ビヘイビア電源(B, Arbitrary behavioral voltage or current sources)
  2. 電圧制御電圧源(E, voltage-dependent voltage source)
  3. 電流制御電流源(F, current-dependent current source)
  4. 電圧制御電流源(G, voltage-dependent current source)
  5. 電流制御電圧源(H, current-dependent voltage source)

の各種制御電源が用意されておりますが,上記のうちB, E, GにはLaplaceオプションが用意されております。 これは,入力信号に対して,Laplaceオプションで記述した伝達関数を(周波数領域で)乗じたものを出力とする機能であり, ある意味で非常に強力です。

罠とは何か

2次系のハイパスフィルタ(HPF)の伝達関数G(s)は次式で書けます。

G(s) = \displaystyle \frac{s^{2}}{s^{2} + 2 \zeta \omega_{n} s + \omega_{n}^{2}}  \tag{1}

ご存じの通り,\zetaは減衰係数,\omega_{n}は固有角周波数です。

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連続系の代表的な伝達関数の双一次変換による離散化

はじめに

連続系では1次遅れ要素や2次遅れ要素など,代表的な伝達関数というものがあります,例えば,

G_{1}(s) = \displaystyle \frac{\omega_{n}}{s + \omega_{n}}, \quad G_{2}(s) = \displaystyle \frac{\omega_{n}^{2}}{s^{2} + 2 \zeta \omega_{n} s + \omega_{n}^{2}} \tag{1}

などですね。

制御器やフィルタなどをもともと連続系で考えていた場合,マイコンFPGAに実装しようとする際には離散系に変換する必要が生じます。 このときのテクニックのひとつに双一次変換(bilinear transformまたはTustin transformとも)があります。これは,

s = \displaystyle \frac{2}{T_{s}} \frac{1 - z^{-1}}{1 + z^{-1}} \tag{2}

として,s領域の伝達関数z領域の伝達関数に変換する手法です。ここでT_{s}はサンプリング周期です。

動機と方法

双一次変換については,各種教科書・参考書で「変換できる」という記述は見掛けるのですが,実際に(記号計算として)変換した結果はあまり見たことがありませんでした。 そこで,Pythonの数式処理ライブラリSymPyを用いて,計算してみることにしました。

結果

連続系の様々な伝達関数を双一次変換してみました。結果は下表をご覧下さい。

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LTspice用制御系ライブラリContraille開発中

Analog Devices社が無償で提供しているLTspice XVIIは回路シミュレータとして大変強力ですが,MATLAB/SimulinkやPSCAD/EMTDCにあるような「信号」という概念がありません。すべてが回路です。SimulinkやPSCADにあるようないわゆる「制御ブロック」を標準では持っていないので,制御系を作ろうとするとOPアンプで作るか,Arbitrary behavioral voltage sourceを組み合わせて作るしかありませんでした。

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最初の記事

はじめに

電気系の技術者として15年以上は生活してきましたが,自分の中に集積がないことに気が付きました💦 本ブログを通じて,学び直しながらoutputしてみようと思います。

試してみる

ところで,はてなブログでは数式が書けたりするんでしょうか?

 e^{\boldsymbol{A} t} = \mathcal{L}^{-1} \left [ (s \boldsymbol{I} - \boldsymbol{A})^{-1} \right ] \tag{1}

おおっ! 表示されてますね!